日本調剤×DNS 専門性を掛け合わせた共同開発

INSIGHT

2022年6月、日本調剤はDNSと共同開発したプロテインパウダー「WHEY PROTEIN Health Mix(チョコレート風味/すっきりライチ風味)」を日本調剤PB(プライベートブランド)の新商品として販売開始しました。販売開始以降、日本調剤の全国の薬局とヘルスケア通販サイト「日本調剤オンラインストア」で多くの方にご購入いただいている本商品。日本調剤とDNS双方の開発担当者の対談を通じ、その開発の裏側や込めた思いを紐解きます。

株式会社DNSについて https://www.dnszone.jp/

2000年の創立以来、トップアスリートに支持され続けているスポーツニュートリションブランドDNSを展開し、HMB・アミノ酸・クレアチンなどのサプリメント、たんぱく質や電解質を含むドリンク、ビタミン・ミネラルを含むゼリーやフードを提供する企業。

日本調剤株式会社 ヘルスケア推進部  佐々木 康秀 (薬剤師)のポートレート

日本調剤株式会社 ヘルスケア推進部

佐々木 康秀 (薬剤師)


日本調剤PB商品の開発や、日本調剤オンラインストアの運営を担当。元々プロテインは苦手だったが、現在はすっきりライチ風味を愛飲している。

株式会社DNS 開発・生産Div.  熊谷 智弘のポートレート

株式会社DNS 開発・生産Div.

熊谷 智弘


DNSで商品企画などを担当。自身もランナーであり、トレーニング後のプロテインは欠かさない。

日本調剤の顧客層に合わせた、科学的根拠に基づく商品開発

―――どのような経緯で共同開発に至ったのでしょうか。


佐々木:日本調剤の薬局ではフレイル※1 ・サルコペニア※2 の悩みを抱えた患者さまも多くいらっしゃり、たんぱく質不足を補える商品のニーズを感じていました。そんな中、スポーツ栄養学の知見も深く、多数のアスリートからも支持されているDNSと共同で、日々の健康をサポートするための商品開発が行えないかと考え、当社からお声掛けいたしました。


熊谷:当社でも以前から中高年層向けの商品を開発・展開する案はありましたが、もっと先々の構想として描いていました。そのため、お声掛けをいただいたときは驚きましたが、「やろう」と社内ですぐに合意しました。当社の顧客層と日本調剤の顧客層は異なるので、これまで当社のブランドを知らなかった層にもリーチできるよい機会だと考えたからです。

※1 フレイル(虚弱)とは、加齢に伴い体重が減少し疲れやすくなるなど、体の動きが弱くなってきた状態を指します。この状態になると要介護になる可能性が高いといわれていますが、早期に生活習慣を見直すことで健康な状態に戻れる可能性があります。

※2 サルコペニアとは、ギリシャ語で筋肉を表す「サルコ」と、喪失を表す「ペニア」を組み合わせた造語で、フレイルからさらに筋肉量が減少した状態を指します。筋肉量は40歳から少しずつ減少し、60歳を超えると減少率はさらに加速するといわれています。加齢の他に、たんぱく質摂取量の減少や活動量の減少により、つくられる筋肉が少なくなることがサルコペニアの主な原因です。

日本人の年代別食物繊維摂取量と一日の摂取目標量を示すグラフ
令和元年国民健康・栄養調査と日本人の食事摂取基準(2020年版)より当社作成

佐々木:プロテインの処方設計を決めるにあたっては、乳酸菌と食物繊維を入れることを当社から要望しました。毎日の健康を支えるために腸内環境を整えることはとても大切です。食物繊維を豊富に含む健康食品は当社の薬局でも以前から売れていましたし、日本人の食物繊維摂取量は、不足しているというデータもあります。

熊谷:腸の健康が全身の健康につながる、という考えのもと、「腸活」(:元気な腸を作る活動)という言葉もよく耳にするようになりましたよね。中高年層向けの商品に乳酸菌・食物繊維を入れるという処方設計は以前からイメージしていたので、その層をメイン顧客にもつ日本調剤からその提案をいただいたときには、イメージが合致していてよかったと感じました。

排便回数が比較的少ない健常者を対象とした、有胞子性乳酸菌摂取による便通改善効果を示す図表
【参考文献】Japanese Pharmacology & Therapeutics 46, 9, 1549-1558 (2018)

当社では、商品開発において成分・配合量を決める際には、ヒトで効果が実証されたエビデンスがあることを重視しています。

二社の共通する思い「安心・安全で継続したくなる商品にー」

―――開発にあたり、こだわった点や込めた思いを教えてください。


佐々木:日本調剤のPB商品は安心・安全であることをテーマに掲げています。DNSは、GMP(Good Manufacturing Practice)やFSSC(Food Safety System Certification)等、安全性や衛生面についての高度な品質管理基準に準拠した国内の食品製造工場で製造しているという点もお声掛けをした理由の一つです。


熊谷:本商品の原料は、牛乳から精製したホエイプロテインです。天然のものなので、精製方法だけでなく、シーズンや牛の産地によっても味やたんぱく質量が異なります。当社では何種類ものホエイを扱っていますが、シーズンによって品質が不安定にならないように製造タイミングの異なるサンプルをいくつも確認して、数年かけて高品質なホエイを選定しています。

WHEY PROTEIN Health Mix(チョコレート風味)

WHEY PROTEIN Health Mix(チョコレート風味)の井パッケージ画像

原料として、Whey Protein Concentrate(ホエイプロテインコンセントレート/WPC)を使用。

本商品で使用するWPCのたんぱく質含有量はおよそ77~78%。WPCは乳糖を含むためミルクテイストがあり、チョコの風味とマッチする。

1食(30g)あたり、たんぱく質(無水物換算値)16.8g※3

WHEY PROTEIN Health Mix(すっきりライチ風味)

WHEY PROTEIN Health Mix(すっきりライチ風味)のパッケージ画像

原料として、Whey Protein Isolate(ホエイプロテインアイソレート/WPI)を使用。

本商品で使用するWPIはイオン交換法でたんぱく質以外の成分をほとんど分離・除去。たんぱく質の含有量はおよそ88%。糖質・脂質の含有量もWPCの半分以下で、すっきりとした味わいに。

また乳糖も除去しているため、牛乳を飲むとおなかを壊しやすい方にもおすすめ。

1食(25g)あたり、たんぱく質(無水物換算値)16.2g※3

※3 日本人の食事摂取基準によると、一日当たりのたんぱく質の摂取推奨量は成人男性で60~65g、成人女性で50g

佐々木:PB商品のもう一つのテーマが「ライフスタイルに溶け込む」こと。つまり日常的に継続して使えるようなものであることが大切です。そのためには味がおいしいことはもちろん、溶けやすさも重視しています。水に溶かすことが負荷になるようであれば、毎日続けることは困難ですから。


熊谷:継続したくなるように、味について妥協しないというのは当社も同じ方針です。そのため原価構成比として味づくりの部分にかなりコストをかけています。

そして味・溶けやすさの他にもう一つ重要なのが泡立ちにくさです。たんぱく質には元来泡立ちやすい性質がありますが、水に溶かして振った後にしばらく泡が引かなければ非常に飲みにくい。本商品は工場の技術で振った後にすーっと泡が引いていく泡切れのよさを実現しています。

日常生活の食事にプラスワン。長く愛される商品に。

―――この商品をどのような人に飲んでほしいですか。


熊谷:「アクティブに日常を過ごしたい方」でしょうか。今はコロナ禍で一部行動が制限されていることもあり、年齢を問わず体を動かしたい、動かさなきゃと思う方が増えているように思います。ウォーキングであったり、山歩きであったり……せっかく体を動かすのであれば、より効率よく動きやすい体をつくってあげることで、楽しい毎日が過ごせるのではないかと思います。体を動かす楽しみを持っている方には特におすすめしたいですね。


佐々木:アクティブな方にもおすすめですが、運動習慣がない方にも飲んでいただきたいです。体を動かしたい方だけでなく、日常を健康的に過ごしたいと考えている方が食事にプラスできる、健康の自己管理ツールの一つとして。たんぱく質の不足が原因で健康に問題を抱えている方を一人でも減らす……、そのためにこのプロテインを活用いただきたいというのが最大の思いです。


熊谷:ご高齢の方は「ちゃんとご飯を食べている」と言っても、中には炭水化物中心になってしまう方もいらっしゃいますよね。そんな方に日常使いで牛乳代わりのように飲んでいただくのもよいと思います。

実は当社で扱っているプロテインは、2019年に風味に関して大きなリニューアルをしました。それまでは“プロテインとして”おいしいことを目指していましたが、“飲み物として”おいしいことを掲げてぐびぐびと飲める商品を目指しました。今回共同開発したプロテインもまさにそのような仕上がりになっています。



―――共同開発、そしてこの商品の今後の展望を教えてください。


熊谷:今回共同開発のお声掛けをいただいて、これまでは難しいと考えていた層にリーチできる商品開発が実現できてうれしく思っています。これからも長く愛される商品にしていきたいので、別のフレーバーや第二弾となる商品の検討も進めていければと思います。


佐々木:この商品を長く育てていきたいという思いは同じです。健康には栄養と、睡眠、休息、運動が必要不可欠ですが、DNSは運動にも精通されているので、そのあたりの知見もいただきながら情報発信していければと考えています。

関連するタグ

関連記事

「栄養」のプロが薬局から支えるがん患者さまの生活

日本人の死因に占める割合のうち、最も多いものはがんである*1と言われています。がんの治療を「入院」と「外来(通院)」の2つの手段で分けて見ていくと、2005年(平成17年)を境に外来の患者数が増加傾向にあることが分かります。これは、経口抗がん剤(飲み薬)の開発、早期発見のための検査技術革新などにより、「仕事や家事育児と両立しながら通院でがん治療を受ける」という選択肢が増えたことに起因しています。医療の発展が、入院よりも低コストで、罹患前の生活をできるだけ維持しながらがん治療を受けられる社会への移行を後押ししているのです。

Pioneer

次のStoryへ
Back to top