食生活をサステナブルに!食品ロスについて考えよう【栄養だより2022年8月号】

栄養のはなし

大量の食品がごみ箱に捨てられているミニチュア模型
日本調剤の薬局(一部のみ)では、季節に合わせた健康情報をお届けする情報紙として、毎月「栄養だより」を配布しています。ご自身の食事や健康に興味を持ち、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいという思いから、管理栄養士が健康に関する情報を発信しています。その中から一部内容を編集してご紹介します。
「食品ロス」という言葉を聞いたことがありますか?まだ食べられる状態にもかかわらず、期限切れや食べ残しによって捨てられてしまう食品のことです。農林水産省及び環境省の令和2年度推計値によると日本では年間522万トンの「食品ロス」が発生しています。これは毎日1人あたりお茶わん1杯分もの食品が捨てられていることとなり、環境に悪影響を及ぼしています。食品ロスを減らす方法を学び、環境や家計への負担を減らしましょう!

食品ロス削減のための3姿勢

食品ロスを減らすためには、「買い過ぎない」「作り過ぎない」「食べ切る」の3姿勢がとても大切です。

ではこの3姿勢について、具体的にどのようなポイントに気を付ければよいのでしょうか?買い物時、料理・食事時、外食時のそれぞれの場面において、気を付けるべきポイントをご紹介します。


野菜が陳列されているスーパーの棚

買い物時のポイント

買い物の前に食材をチェックする

冷蔵庫や食品庫の中に入っている食材を事前に確認し、買い物が必要な食材、不要な食材をしっかり把握しましょう。


食材は必要な分だけ買う
「お得だから」と必要以上にまとめ買いをすると、食材を使い切れず、結果的に捨てることになる可能性もあります。食材は本当に必要な分だけ買い、使い切ることを心掛けましょう。

食品の期限表示を確認する
スーパーの陳列棚の多くは、消費・賞味期限までの期間が長い食品を奥に、期間の短い食品を手前に陳列しています。そのため奥に陳列されているものばかりを取ってしまうと、手前にある期間の短いものが売れ残り、お店での食品ロスが発生してしまいます。食品をすぐ使う予定がある場合は、手前に陳列されているものを選びましょう。

たくさんの料理が並べられている食卓

料理・食事時のポイント

食品を適切に保存する

食品を誤った方法で保存すると、劣化が早くなることがあります。食品に記載された保存方法を守り、できるだけ長持ちさせましょう。


食材を上手に使い切る

食材は残っているものから使用しましょう。また野菜は皮のむき過ぎなどに注意し、無駄なく使い切るようにしましょう。


食べられる量だけ調理する

家族など一緒に食事をする相手としっかりコミュニケーションをとり、食べられる量だけ調理しましょう。それでも作りすぎた場合には、アレンジレシピを活用するなど工夫しておいしく食べ切りましょう。


テーブル上のピザ一切れを手に取るところ

外食時のポイント

テイクアウトが可能な店を選ぶ

まずは食べ切れる量の注文を心掛けることが大切ですが、万が一料理を食べ切れなかった場合、料理を持ち帰ることができるお店を選びましょう。

暖かい場所での長時間の保存は食中毒の危険性が高まりますので、暑い時期の持ち帰りには注意が必要です。


小盛りやハーフサイズを活用する

通常サイズだと食べ切るのが難しい場合は、小盛りやハーフサイズなど食べ切りサイズを選択しましょう。


食品ロスを防ぐ「ローリングストック」

  • レトルト食品や缶詰などの備蓄食品
    災害時に備えて備蓄している食品の期限を定期的に確認していますか?定期的に確認しないと、いざという時に期限が切れていることも考えられます。それを防ぐために有効なのが「ローリングストック」です。

    ローリングストックとは、災害用備蓄食品を日頃から定期的に消費し、食べた分だけを買い足す方法のことです。ローリングストックを取り入れることで、非常食の期限切れによる食品ロスを防げるだけでなく、災害時に「備蓄食料が口に合わない」「作り方が分からない」と戸惑うことが少なくなり、日常に近い食事をすることができます。


●関連リンク

いざという時のために!食品の家庭備蓄を見直そう【栄養だより2020年9月号】


食品ロスを減らす、サステナブルで健康的な食生活の実現へ

最近耳にすることの多い「サステナブル」という言葉には、「持続可能な」という意味があります。私たちの日々の食卓・食生活をこれからも持続可能にしていくために、どのようなことに取り組んでいけばよいでしょうか?サステナブルで健康的な食生活を実現するための3つの取り組みについて学びましょう。
有機JASマーク

有機食品を生活に取り入れる

「オーガニック食品」とも呼ばれている有機食品は、農薬や化学肥料を使わずに生産されています。有機食品を生活の中に取り入れることで環境への負担を軽減することができ、同時に有機農業に取り組む生産者を応援することができます。買い物の際は、有機食品であることを示す「有機JASマーク」が表示されているかをチェックしてみましょう!
牡丹鍋用に盛り付けられたイノシシ肉

ジビエを食生活に取り入れる

農作物などへの鳥獣害対策として多くのシカやイノシシが捕獲されていますが、その資源のほとんどは活用されることなく、そのまま埋設・焼却されています。シカ肉やイノシシ肉などのジビエを食生活に取り入れることで、貴重な動物資源を無駄なく使うことができるとともに、鳥獣害対策への後押しにもなります。
余った食べ物がフードバンクを通じて必要とする人の元に届いているイラスト

「フードドライブ」に協力する

「フードドライブ」とは家庭にある余った食品を回収し、フードバンクという団体を通じて支援を必要とする個人や団体に寄付する取り組みです。寄付できる食品は自治体によって異なりますので、実施状況も含め、詳細は各自治体のホームページなどでご確認ください。

管理栄養士のお悩み相談部屋

「プラントベース食品」という言葉を聞いたことがあるのですが、どのような食品なのでしょうか?

植物由来の原材料を使用した食品です。植物由来である大豆や小麦を原材料として、動物由来である肉や卵、牛乳、バター、チーズなどに代わる加工食品も作られています。中でも有名なのは、大豆を加工して作られる大豆ミートです。大豆ミートは低カロリーかつ低脂質で、良質なたんぱく質食物繊維を豊富に含んでいます。

またプラントベース食品は栄養価が高いだけでなく、環境にやさしいところも特徴です。


二酸化炭素排出量の食品別の割合を表した円グラフ

プラントベース食品が環境にやさしい理由

動物由来の食品と比較して、プラントベース食品に使われている野菜や果物は、原材料の調達から廃棄・リサイクルに至るまでの二酸化炭素排出量低く、環境への負担が少ないといわれています。普段の食生活に菜食やプラントベース食品を取り入れることで、環境への負担を減らすことができ、また意識的に野菜を摂ることで栄養バランスの改善にもつながります。
  • 野菜を持ってる管理栄養士
    日本調剤の管理栄養士へのご相談は、処方箋をお持ちでない方でも、どなたでもご利用いただけます。病気というほどではないけれど、ちょっと健康のことが気になるな……サステナブルで栄養バランスの良い食事について、もっと話を聞いてみたい!と思ったら、ぜひお気軽にお近くの日本調剤にお立ち寄りください
栄養だより2022年8月号(PDF)

【参考文献】環境省.”消費者向け情報”.食品ロスポータルサイト.http://www.env.go.jp/recycle/foodloss/general.html,内閣府大臣官房政府広報室.”もったいない!食べられるのに捨てられる「食品ロス」を減らそう”.政府広報オンライン.2021年12月27日.https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201303/4.html,消費者庁.”めざせ!食品ロス・ゼロ”https://www.no-foodloss.caa.go.jp/topic_mar.html,環境省.”サステナブルで健康な食生活の提案”.2021年8月30日.https://www.env.go.jp/earth/files/ondanka/sustainable-syoku/mat01.pdf,農林水産省.”特集1 学ぼう!有機食品(1)”.https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1311/spe1_01.html,消費者庁.”プラントベース食品って何?”https://www.caa.go.jp/notice/other/plant_based/assets/representation_cms201_210820_01.pdf,株式会社世田谷自然食品.”健康習慣|大豆ミートってどういいの?”https://www.shizensyokuhin.jp/archives/articles/741

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