免疫力アップのために!腸内フローラについて知り、腸内環境を整えよう【栄養だより2023年2月号】

栄養のはなし

いたわるようにおなかに触れる女性
日本調剤の薬局(一部のみ)では、季節に合わせた健康情報をお届けする情報紙として、毎月「栄養だより」を配布しています。ご自身の食事や健康に興味を持ち、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいという思いから、管理栄養士が健康に関する情報を発信しています。その中から一部内容を編集してご紹介します。


インフルエンザやノロウイルスなどの感染症が流行しがちな冬。体の免疫力を高めるためには、腸内環境を整えることが大切です。日ごろの食事や生活習慣によって腸内環境を改善させ、感染症を予防しましょう!

腸活でよく耳にする「腸内フローラ」って?

色とりどりのチューリップの花畑

私たち人間の腸内には、およそ100兆~1,000兆個の細菌が存在し、その種類は約1,000ともいわれています。腸内細菌は、菌ごとに塊となって腸の壁に隙間なく張り付いており、その状態が品種ごとに並んで咲く花畑(フローラ)のように見えることから、「腸内フローラ」、別名「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」とも呼ばれています。

腸内フローラを形成する細菌

腸内フローラを形成している菌は、働きによって善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類に分けられます。まずはそれぞれの菌の特徴についてご説明します。


善玉菌

私たちの身体の健康を守ってくれる菌で、主な菌種として乳酸菌やビフィズス菌などが挙げられます。糖分や食物繊維を発酵させ、乳酸・酢酸を作り出す働きがあります。腸内が弱酸性に保たれるので、アルカリ性の環境を好む悪玉菌の増殖を抑えることができます。


悪玉菌

増えすぎると身体に悪影響を及ぼす菌で、主な菌種として大腸菌(有毒株)やブドウ球菌などが挙げられます。肉類などに含まれているたんぱく質を分解して毒性物質を作り出し、腸内をアルカリ性にする働きがあります。名前から悪い印象を持たれやすいですが、分解したたんぱく質を便として排泄するという、人間にとって必要不可欠な働きもあります。


日和見菌

善玉菌と悪玉菌のどちらでもない菌で、主な菌種としてバクテロイデスや大腸菌(無毒株)などが挙げられます。善玉菌と悪玉菌のうち、優勢な菌と同じ働きをするので、腸内環境を良好に保つためにも、善玉菌の割合を一定に保ち、悪玉菌と同じ働きをさせないことが大切です。


腸内フローラのバランスを崩す原因

腸内フローラのバランスは「善玉菌2割、悪玉菌1割、日和見菌7割」が理想的とされていますが、そのバランスはさまざまな原因によって乱れてしまいます。以下では、その原因の中から2つをご紹介します。
揚げ物の盛り合わせ

栄養バランスの偏った食事と運動不足

特に脂質の多い食事は腸内フローラのバランスを崩す大きな原因になるので、栄養バランスのとれた食事を心掛けましょう。また適度な運動を行うことも大切です。

窓際に置いた椅子に腰かける高齢女性

加齢

老年期に入ると、生理機能の低下によって善玉菌であるビフィズス菌が減少し、反対に悪玉菌であるウェルシュ菌が増加してしまいます。実年齢より腸年齢の老化が進んでいる方も少なくないので、腸内環境を整えることを意識してみましょう。

腸内環境を整えるには?食事で意識したい4つのポイント

さまざまな種類の野菜が並んでいる様子

【1】肉は3倍量の野菜と一緒に食べる

「肉:野菜=1:3」のバランスを目指しましょう!野菜に多く含まれている食物繊維によって善玉菌が活性化し、肉に含まれているたんぱく質から毒性物質を作りだそうとする悪玉菌の働きを抑制します。

急須と湯飲みに注がれた緑茶2杯

【2】緑茶を飲む

緑茶に含まれるカテキンには抗菌作用があり、腸内の悪玉菌の増殖を防いでくれます。

オリーブオイル

【3】オリーブオイルをかける

オリーブオイルに含まれるオレイン酸は、腸の働きを活発にし、便秘の予防・解消に役立つとされています。また、血中の悪玉(LDL)コレステロールを減らし、善玉(HDL)コレステロールを増やすともいわれています。

フライパンいっぱいの野菜炒めをつくっている様子

【4】野菜は1日当たり350g食べる

野菜などに豊富に含まれている食物繊維は、腸内環境の改善につながるとされています。加熱などかさを減らす工夫をして、1食120gを目安に食べましょう。おすすめの食材としては、葉物野菜ではキャベツやほうれん草、小松菜、根菜ではにんじん、ごぼう、れんこんなどが挙げられます。また野菜の他には、えのきやしめじ、まいたけなどのきのこ類もおすすめです。


管理栄養士のお悩み相談部屋

善玉菌を増やした方がいいのは分かったけれど、どんな食品を摂ったらいいの?

善玉菌は、発酵食品と、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を一緒に食べることで効果的に増やすことができるといわれています。
小鉢に盛られたキムチ

発酵食品

ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を含んでおり、主にヨーグルト、納豆、乳酸菌飲料、キムチなどの漬物が挙げられます。乳酸菌飲料には糖質、漬物には塩分が多く含まれるため、食べ過ぎには注意しましょう。また善玉菌は一度の摂取では腸内に定着することができないため、毎日続けて摂ることが大切です。

海藻サラダ

食物繊維、オリゴ糖

善玉菌の増殖を助ける働きがあります。食物繊維は海藻類やきのこ、もち麦などに、オリゴ糖はごぼう、玉ねぎ、バナナなどに豊富に含まれます。

  • 野菜を持ってる管理栄養士
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栄養だより2023年2月号(PDF)

【参考文献】公益財団法人長寿科学振興財団.”腸内細菌叢(腸内フローラ)とは”.健康長寿ネット. 2019年11月21日.https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/kenko-cho/chonai-saikin.html,森永乳業株式会社.”腸年齢チェックテストで腸内フローラをチェック!”.https://bifidus.jp/choselfcheck/,帝人株式会社.”食物繊維は茹でるとどうなる?増える?減る?”.ビオリエ.2022年1月28日.https://biolier.jp/column/column0042/,ハウスウェルネスフーズ株式会社.”腸内環境を整える3つの菌とは?腸に良い食べ物やすぐできる生活習慣改善法をチェック!”.ハウスの公式通販ハウスダイレクト.2021年10月13日.https://www.house-direct.jp/column/intestinal-environment01/(閲覧日:2023年1月16日)

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