すっきりした目覚めのために!睡眠について考えよう【栄養だより2020年10月号】

栄養のはなし

ベッドで目覚まし時計を止める女性
日本調剤の薬局(一部のみ)では、季節に合わせた健康情報をお届けする情報紙として、毎月「栄養だより」を配布しています。ご自身の食事や健康に興味を持ち、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいという思いから、管理栄養士が健康に関する情報を発信しています。その中から一部内容を編集してご紹介します。

睡眠の役割

日本人の睡眠時間は欧米と比べると短い傾向にあり、厚生労働省によると、日本人の5人に1人は睡眠時に何らかの障害を抱えていると言われています。質の良い睡眠は、疲労回復だけでなく生活習慣病や肥満の予防も期待できるので、そのための環境を整えることが大切です。


質の良い睡眠のために心掛けたい事

朝日を浴びて伸びをする女性

1.日光を浴びる


人間の体内時計の周期は24時間より少し長く、1日の周期とは少しずれがあると言われています。朝起きたときに日光を浴び、体内時計のずれをリセットしましょう。


ランニングをする女性

2.適度な運動


適度に体を動かすことで程よい疲れが得られ、自然と眠りにつくことができます。ラジオ体操や散歩を取り入れて体を動かしてみましょう。

枕もとで光るスマートフォン

3.就寝前の電子機器の利用を控える


パソコンやスマートフォンなどの電子機器の光には脳を覚醒させる作用があります。睡眠の質を低下させる原因になるので、利用は控えるようにしましょう。

睡眠障害の種類

最近問題となっている睡眠障害をいくつかご紹介します。
睡眠時無呼吸症候群
首の脂肪や下あごが重いため睡眠中に気道を塞いでしまうことが原因と言われています。無呼吸を繰り返すと、血液中の酸素濃度が低下し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まると言われています。
むずむず脚症候群
脚の内部のほてりや虫が這うような感覚が起こります。睡眠が妨げられるため、日中に眠くなったり、日常生活に支障をきたすこともあります。
ナルコ レプシー
前日に十分な睡眠時間をとっていても、昼間に耐えがたい眠気に襲われる症状が特徴です。脳の神経伝達物質オレキシンの欠乏が原因と言われています。
不眠症
高齢者に特に多く、退職や死別などの心理的なストレスに加えてメリハリのない生活や病気、治療薬の副作用などが原因と言われています。
気になる方は睡眠外来などで相談しましょう。

質の良い睡眠のための食事 6つのポイント

バランスの良い食卓

【ポイント1】 1日3食規則正しく食べる


【ポイント2】 朝食は必ず食べる


カップに入った熱いコーヒー

【ポイント3】 カフェインは寝る4時間前まで

興奮作用のあるカフェインは成人で1~2時間、高齢者の方では4~5時間体内に残ると言われています。就寝前の飲み物はノンカフェインの麦茶やルイボスティーなどがおすすめです。


【ポイント4】 昼寝をする前にカフェインを摂る

カフェインの作用は体に吸収されてから30分後に発揮されます。短時間でスッキリ目覚めたいときにはおすすめです。

【ポイント5】 晩酌は1日純アルコール20gまで

過度にアルコールを摂取すると睡眠の途中で目が覚めやすくなり、睡眠の質を低下させる原因になるので控えましょう。一般的に女性は男性に比べてアルコール分解速度が遅く、臓器障害を起こしやすいため、女性は男性(20g)の1/2~2/3程度が適正飲酒量と言われています。

※医師の指示がある方は指示に従ってください。

 純アルコール20gの目安

  ビール(5%) … 中瓶1本(500ml)

  ワイン … グラス2杯弱(200ml)



【ポイント6】 寝る前にグリシン、朝にトリプトファンを摂る

グリシン
アミノ酸の一種。脳の体内時計に作用して睡眠のリズムを整える働きがあります。

エビ、イカ、ホタテなどの魚介類などに含まれています。

トリプトファン
必須アミノ酸の一種。気持ちを落ち着かせるホルモン「セロトニン」の生成を助ける働きがあります。

朝にトリプトファンを含む食品を摂ることで夜にはセロトニンが生成され、睡眠の質向上のサポートをします。トリプトファンは体から作り出せないため、食事から摂る必要があります。

乳製品、バナナ、アボカド、肉類などに含まれています。

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なかなか寝付けないときはどうしたらいい?

寝る前に体や心をリラックスさせることで、スムーズな入眠と質の良い睡眠を得ることができます。ご自身に合ったリラックス法を見つけましょう。

不眠を悪化させないためのポイントもご紹介します。

快眠のためのリラックス方法

  • お湯をはった浴槽
    ●ぬるめ(37~39℃)の入浴

    ●音楽を聴く

    ●軽い読書

    ●ストレッチ

    ●深呼吸

    ●ヨガ

    ●香りを楽しむ

     ラベンダーやカモミールなどの香りがおすすめです。


不眠を悪化させないポイント

●寝付けない時は寝床から一旦出る

しっかりと眠気がくるまでは寝床に向かわず、寝床にいる時間は、実際に眠れている時間+30分~1時間程度に抑えましょう。


●寝床では睡眠以外のことはしない

寝床で読書やテレビの視聴等を習慣的に行っていると、横になるだけで頭が活性化して目覚める習慣がついてしまう恐れがあります。

栄養だより2020年10月号(PDF)

【参考文献】厚生労働省."睡眠対策".https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html,オムロン ヘルスケア株式会社."vol.141 睡眠が健康に与える影響――睡眠は「時間」も大事だが「質のよさ」がもっと重要!".https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/141.html,厚生労働省."高齢者の睡眠".e-ヘルスネット.https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-004.html,ハウス食品グループ本社株式会社."その夜食ちょっと待った!よい睡眠のために食事ができることとは".House E-mag.https://housefoods-group.com/activity/e-mag/magazine/29.html,日本クリニック株式会社."「セロトニン」".http://www.japanclinic.co.jp/counseling/detail.php?id=61,公益財団法人長寿科学振興財団."快眠のためのリラックス法".健康長寿ネット. https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/tyojyu-suimin/kaimin-relax.html,国立精神・神経医療研究センター."眠れないときは".睡眠医療プラットフォーム.https://sleepmed.jp/platform/entry5.html

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