筋肉について考えよう!~ロコモティブシンドローム~【栄養だより2019年10月号】

栄養のはなし

杖をついて歩く2人組
日本調剤の薬局(一部のみ)では、季節に合わせた健康情報をお届けする情報紙として、毎月「栄養だより」を配布しています。ご自身の食事や健康に興味を持ち、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいという思いから、管理栄養士が健康に関する情報を発信しています。その中から一部内容を編集してご紹介します。

今話題の「ロコモティブシンドローム」って何?

「ロコモティブシンドローム」という言葉を聞いたことはありますか?通称「ロコモ」、またの名を「運動器症候群」とも言います。

骨や関節、筋肉など移動機能をもつ運動器の衰えが原因で、「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態を指します。

息切れしているスポーツウェアの女性2人

ロコモの原因

「低栄養」「加齢」「運動不足」が3大原因とされています。これらの要因が重なると筋肉減少や骨粗しょう症を招きます。

厚生労働省によると要支援や要介護になった原因の約4分の1は「運動器の障害」です。筋肉減少によってつまずきやすくなり、その結果、転倒し骨折するなど悪循環が生じます。


※食欲やかむ力の低下などで食事の量や質が低下し健康な体を維持するために必要な栄養素が不足している状態

あなたは大丈夫?ロコチェック

杖をついて横断歩道を歩く女性

□ 15分続けて歩くことができない

□ 2kg程度(1Lの牛乳パック2本)の買い物をして持ち帰るのが困難である

□ 横断歩道を青信号で渡り切れない

□ 洗濯など家庭でののやや重い仕事が困難である

□ 階段を上るのに手すりが必要である

□ 片足立ちで靴下が履けない

□ 家の中でつまずいたり、すべったりする


(ロコモチャレンジ推進協議会 公式HP「ロコモオンライン」より)

上記の項目の中で1つでも該当する方はロコモの心配があります。この機会に運動や食事を見直してみましょう。


もし、足腰に痛みを感じたり、違和感を覚えたりした場合には、お近くの整形外科医に相談するようにしましょう。整形外科医の中でも「ロコモアドバイスドクター」は、ロコモについて相談できる整形外科専門医です。ぜひお近くのロコモアドバイスドクターを探してみてください。詳しくはスタッフまでお声掛けください。

食事でしっかり対策!ロコモ予防

ロコモ予防のための食事は、筋肉に必要な「たんぱく質」、骨に必要な「カルシウム」をしっかり摂ることがポイントです。

筋肉を強くする食事

力こぶ

たんぱく質は丈夫な身体づくり・疲労回復や持久力アップに欠かせません。中でも筋肉の合成に欠かせない必須アミノ酸を多く含む良質なたんぱく質と、たんぱく質の分解や合成の手助けをする「ビタミンB6」を一緒に摂ることが重要です。
●たんぱく質

・牛肉、豚肉、鶏肉

・アジ、まぐろ、カツオ

・卵

・牛乳、ヨーグルトなど


   +


●ビタミンB6

・レバー、鶏ひき肉

・まぐろ、カツオ

・赤ピーマン、ニンニク

・バナナ、キウイなど

骨を強くする食事

空に浮かぶ骨の形をした雲

骨をつくる栄養素はカルシウムのほか、「ビタミンD」や「ビタミンK」も重要です。
●カルシウム(Ca)

骨粗しょう症予防のための1日の摂取目安は700~800㎎/日とされています。

<カルシウム含有量>

・牛乳(200ml/杯)・・・220mg

・ヨーグルト(200g)・・・250mg

・厚揚げ(1/2枚:100g)・・・240mg


●ビタミンD

腸でのカルシウムの吸収を高める働きがあります。

・鮭

・キノコ類


●ビタミンK

骨の形成や骨質の維持を助けます。

・納豆

・青菜など

※ワーファリンを服用している方は注意が必要です。薬剤師にご相談ください。

ちょっとした運動でロコモ予防!~日本調剤オリジナルちょこっとロコモ予防トレーニング「ちょこトレ」~

  • ちょこトレ
    食事だけでなく、かかとの上げ下げなど日常生活の中でも取り入れられる適度な運動を行うことで、ロコモを予防することができます。

    日本調剤では“3分でできるちょこっとロコモ予防トレーニング”として、座ったまま気軽にトライできる「ちょこトレ」を店内モニターで毎日放映しています!お薬の待ち時間に“ちょこっと”やってみませんか?

    なお、全5種類のトレーニング動画の一部をYouTubeで公開しています。ぜひご覧ください。


    ちょこトレ① 骨盤をゆらそう https://youtu.be/r3gcMIxw6U0

    ちょこトレ③ 股関節をほぐそう https://youtu.be/fQ9aOoteLqU

    ちょこトレ⑤ 足首を鍛えよう https://youtu.be/UgJmAkiv44I

管理栄養士のお悩み解決部屋

たんぱく質が大事なのはわかったけど、どのくらい摂ればいいの?

厚生労働省では1日の摂取目安として、健常な成人男性で60g、女性で50gを推奨しています。以下の食材を日々の食事の中で取り入れるように心がけましょう。


<たんぱく質を多く含む食品>

・サバ水煮缶(1缶)  26.8g

・生サケ(1切)  22.3g

・豆腐1丁(300g)  14.7g

・鶏ささみ(約1本)  10.4g

・納豆(1パック)  8.3g

・牛乳(200ml)  6.9g

・卵1個(50g)  6.5g

・豚ロース(30g)  5.8g

ビタミンDの摂取は日光浴でも良いと聞いたことがあるけど、実際どうなの?

日光浴でもビタミンDを作ることができます。環境省では、昼間に日光を浴びる場合、夏なら3分、冬なら50分程度、日光に当たるよう推奨しています。食事と併せて生活に取り入れるようにしましょう。
両手を広げて日光浴する女性

栄養だより2019年10月号(PDF)

【参考文献】 ロコモ チャレンジ!推進協議会. ロコモチャレンジ推進協議会 公式HP「ロコモオンライン」. https://locomo-joa.jp/,“厚生労働省,平成28年国民生活基礎調査の概況”. https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/index.html, ・厚生労働省. “健康的なダイエット:適切な体重管理で、健康づくりをしよう!”. e-ヘルスネット. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-009.html, 厚生労働省. “日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要”.  https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf, 大塚食品株式会社,知って得するたんぱく質早見表, 環境省. “紫外線環境保健マニュアル2015”. https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full/matsigaisen2015_full.pdf

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