本格的な暑さがやってくる前から水分補給を意識しよう!かくれ脱水に要注意【栄養だより2023年6月号】

栄養のはなし

テーブルの上に置かれている水の入ったペットボトルとコップ
日本調剤の薬局(一部のみ)では、季節に合わせた健康情報をお届けする情報紙として、毎月「栄養だより」を配布しています。ご自身の食事や健康に興味を持ち、生活習慣を見直すきっかけにしてもらいたいという思いから、管理栄養士が健康に関する情報を発信しています。その中から一部内容を編集してご紹介します。

「かくれ脱水」ってどんな状態?

湿度の高い梅雨の時期には水分補給量が少なくなりがちで、自分が脱水傾向になっていることに気付かない人が多いといわれています。このような時期こそ、「かくれ脱水」に注意が必要です。かくれ脱水とは、脱水症の一歩手前で、身体に必要な体液(水分)が減っている状態を指します。脱水症になりかけているにもかかわらず本人や周囲がそれに気付かないことが多いとされていますが、身体の小さなサインにも目を向けてかくれ脱水を予防しましょう。

かくれ脱水が起きやすいシーン

かくれ脱水は、屋外、室内、車内それぞれの環境において、以下のようなシーンで起こりやすいといわれています。

屋外

汗はかいているが、まだ身体は不調をきたしていない

室内

冷房が効いて、空気が乾燥している

車内

トイレの回数を減らすために水分摂取を控えている

かくれ脱水チェック

次のような症状が少しでも見られたら、かくれ脱水を疑いましょう。
手足
✓爪を押した後、3秒以上たっても爪の色が白色からピンク色に戻らない

✓手の甲をつまんで離したとき、盛り上がった皮膚がすぐに元の状態に戻らない

✓手足が冷たくなっている

✓口内が乾燥している

✓舌がいつもより赤い

✓舌が白く覆われている

✓舌の表面にひび割れがある

尿
✓尿の色が濃い

✓排尿の回数がいつもより減っている

かくれ脱水を予防するためのポイント

水の入ったグラスを持つ人

こまめに水分補給を行う

のどの渇きを感じたときには、すでに水分が不足している可能性があります。コップ1杯(200ml)の水を、のどが渇いたと感じる前1日6~8回、食事中や起床後、入浴前後、就寝前などに飲みましょう。

グラスに入った麦茶

水分補給に適した飲み物を飲む

アルコールや、コーヒーなどのカフェインを多く含む飲み物には利尿作用があるため、体内の水分を尿として排泄しやすくなり、水分補給には適していません。麦茶で日常的に水分補給しましょう。

また、飲み物の温度は5~15℃が吸収に良いといわれています。外出時には水筒などを活用し、適温の飲み物を持ち歩きましょう。

扇風機が置かれているリビング

涼しく過ごせるよう室内環境を整える

室温は28℃、湿度は55~65%が理想的とされています。扇風機やエアコンで温度を調節するとともに、湿度も確認し、除湿器の利用や、加湿のために濡れタオルを干すなどして工夫しましょう。日差しを遮る遮光カーテンやすだれを活用することもおすすめです。

管理栄養士のお悩み相談部屋

脱水を予防するために、普段の食事で気を付けられることはありますか?

1日3食しっかりと食べること、ミネラルを豊富に含む食品を積極的に摂取することが重要です。飲み物だけでなく食事からも水分を摂ることで、栄養補給もすることができます。
あんかけチャーハン

1日3食しっかりと食べよう

成人が1日に必要とする水分量は約2.5Lといわれています。食事を3食しっかりと摂ることで、約1Lの水分が補給でき、反対に1食の欠食で1日に約400ml/以上の水分不足を引き起こします。食事量の減少や食欲不振がある場合は、摂取する水分量が自然と多くなるあんかけ料理がおすすめです。
色とりどりの野菜

ミネラルを摂取しよう

ナトリウムカリウムなどを指すミネラルには、体内の塩分濃度のバランスを保ち、水分を蓄える働きがあります。ミネラルは汗とともに体外へ排出されますが、体内で合成することができないため、食事から摂取する必要があります。

ナトリウムは食塩に含まれていますが、通常の食事ができている方は、意識的に食塩の摂取量を増やす必要はありません。カリウムは野菜や果物などに多く含まれており、生の状態汁物にすると、効率よく摂取することができます。また、疾患により摂取量に制限が設けられている場合がありますので、疾患をお持ちの方は医師に相談しましょう。

  • 野菜を持ってる管理栄養士
    日本調剤の管理栄養士へのご相談は、処方箋をお持ちでない方でも、どなたでもご利用いただけます。病気というほどではないけれど、ちょっと健康のことが気になるな……脱水の予防につながる食事について、もっと話を聞いてみたい!と思ったら、ぜひお気軽に、お近くの日本調剤までお立ち寄りください。また、薬局にご来局いただかなくても、オンライン栄養相談でも皆さまの食事・栄養をサポートしております。オンライン栄養相談をご希望の方は「栄養相談/認定栄養ケア・ステーション」を選択の上、お問い合わせください。
栄養だより2023年6月号(PDF)

【参考文献】社会福祉法人恩賜財団済生会.”“コロナ夏”の「かくれ脱水」・熱中症対策”.2020年6月19日.https://www.saiseikai.or.jp/feature/covid19/dehydration/,医療生協さいたま かすかべ生協診療所.”脱水症について”.http://www.kasukabe-sin.net/think/th04.html,全国健康保険協会.”水分補給のポイント”.2018年7月4日. https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/tottori/cat070/2017042501/2018040405/30062601/,環境省.”熱中症環境保健マニュアル2022”. https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php,環境省.”ポイントは○○!?夏を快適に過ごすには…?”.COOL CHOICE. https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/coolbiz/article/action_detail_012.html,株式会社大塚製薬工場.”カラダの水分(体液)や脱水症・熱中症の認識に関する実態調査、食事量低下と脱水症の関係に関する認知はわずか約18%”.2022年6月16日. https://www.otsukakj.jp/news_release/20220616.html,公益財団法人長寿科学振興財団.”カリウムの働きと1日の摂取量”.健康長寿ネット.2021年10月21日. https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-k.html(閲覧日:2023年5月23日)

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