週刊!薬剤師ブログ

ジョブチャレ体験記2024.09.13

外来がん治療専門薬剤師として、薬薬連携や後進育成でも活躍中!

日本調剤の社員として病院勤務を経験する「社外ジョブチャレンジ制度(通称:ジョブチャレ®)」
専門知識・スキルを磨く、日本調剤の人気キャリアの一つです。今月のジョブチャレ体験記は、ジョブチャレを経て外来がん治療専門薬剤師の資格を取得したMさん!3年間のジョブチャレ経験後、現在はがんセンターの門前薬局で勤務。専門知識と経験を生かして、後進の育成や学会発表にも取り組んでいます。そんなMさんのジョブチャレ体験記を、一問一答でお届けします!

★社外ジョブチャレンジ制度(ジョブチャレ)とは★
日本調剤の社員として病院勤務を経験できる制度です。給与や福利厚生は日本調剤社員のまま、平均1~2年の病院勤務を経験できます。
詳しくはこちら!https://www.nicho.co.jp/shinsotsu/career/challenge

●ジョブチャレへの参加の経緯を教えてください!
私がジョブチャレに参加したときは、制度開始初期ということもあり、もともとジョブチャレを知っていたわけではありませんでした。上司からジョブチャレのことを教えてもらい、「いい機会だから勉強してきてみてはどう?」と勧めてもらいました。当時はまだ2年目で明確な目標もなく漠然と仕事をしていたこともあり、今後の自分の薬剤師像を探るために、ジョブチャレに行くことを決めた次第です。結果、約3年間の病院勤務を経験しました。

●ジョブチャレ中の業務内容について教えてください!
私が勤務していた病院は、病床数450床で、内科から外科まで幅広い入院処方を応需していました。主な経験業務としては、病棟業務・化学療法関連業務・外来業務・セントラル業務です。担当病棟は、呼吸器外科・消化器外科・耳鼻咽頭科・歯科口腔外科・整形外科・乳腺外科と、幅広い診療科に携わらせていただきました。ジョブチャレを開始して半年が経過した頃から、外来がん治療認定薬剤師を取得したいと思い始め、主任薬剤師の方へ外来業務を担当させてほしいと相談したところ「頑張って」と背中を押していただき、外来業務の大半を私が担当させてもらえるようになりました。

●ジョブチャレ中の印象に残っている出来事はありますか?
肺がんの初回化学療法が開始となる患者さまがいらっしゃいました。当時は、免疫チェックポイント阻害薬が各種肺がんのレジメンに組み込まれて使用され始めたばかりで、どの組み合わせが最も患者さまへ効果が期待できるか手探りの状態でした。病院内でメジャーであった組み合わせを今回の患者さまにも使うだろうと思っていたのですが、実際に選択されたレジメンは新規採用されたばかりのものでした。添付文書やインタビューフォーム、ガイドラインはもちろんのこと、各論文も読み込みましたが優位性を証明するものは見つかりません。あまりにも気になったのでレジメンを決定した呼吸器外科の主治医に相談したところ、せっかくだから直接会って話そうかとおっしゃっていただき、教授室に招かれました。

「君だったら何のレジメンを使う?」と聞かれ、「優位性を示すデータが得られなかったので使い慣れている療法の方が安全に投与を行えると考えます」とお答えしたところ「僕もそう思うよ」と返されました。「ただこの患者さまは肝転移があり、肝がんに対しては今回選択した療法の薬が第一選択として使用されていることを考えると、この患者さまにおいては他のレジメンより効果が期待できるかもしれない。もちろんがん腫が違うから効果が期待できないかもしれないけれど、現時点では『効果がない』というデータもないのだから試したいと思っている。今回初めての薬だけど副作用の管理や投与管理は薬剤師さんと看護師さんがやってくれるから心配してないよ」とのお言葉をいただきました。

医師と1対1で治療方針について話し、医師の治療を決定するまでの考え方に触れ、さらに医師の薬剤師に対する信頼を目の当たりにしたこのたった15分程度の出来事は、私にたくさんの経験を与えてくれました。医師の処方意図を考え、その上で疑問を持ち疑義照会を行うことは、薬剤師の責務の一つですが、医師の処方意図を考えることは非常に難しいことだと思います。薬剤師としての専門性をより磨く必要があると感じましたし、処方せん1枚の重みを感じた出来事でした。

●ジョブチャレを終え、現在勤務している店舗や活動について教えてください!
外来がん治療専門薬剤師の資格を取得したこともあり、がんセンターの門前薬局で働きながら、後進の育成にも力を入れています。資格取得を目指すがん強化チーム員も多く在籍しているので、資料や問題を作成して配布したり、症例の添削をしたりするなどしています。薬局内での社内認定合格者は4名、外来がん治療認定(専門)薬剤師の合格者は3名に増えました!

さらに専門医療機関連携薬局として薬薬連携を強化するにあたり、門前のがんセンターとの合同カンファレンスを月1回程度実施しています。店舗メンバーとは、がんに関する新規治療や介入症例について話すことも多いです。和気藹々とした雰囲気で、分からないことがあればすぐに聞ける環境にあるので、若手薬剤師もメキメキと力をつけているなと肌で感じます。

●病院も経験したうえで、薬局薬剤師だからこそできると感じることはありますか?
トレーシングレポートやテレフォンフォローは病院ではできない、調剤薬局ならではの取り組みだと考えています。新しい治療が開始となり、次回受診までに生じる医療者の関わらない期間に介入することは、非常に意義のあることです。私の場合、新規抗がん剤治療の開始時、支持薬追加時、用量変更時、医療用麻薬開始時は、1週間後を目安にお電話にて体調確認を行い、症状に応じて支持薬の提案を行っています。患者さまから感謝のお言葉をいただくことも多く、「来局の1週間後には毎回お電話をいただきたい」とおっしゃる方もいらっしゃいます。がんに向き合わなければならない状況に不安を抱えている患者さまは少なくありません。精神的にも身体的にも負担が減らせるようフォローを行っています。

がんの患者さまが大半を占める薬局のため、別れが他の薬局以上に多く、緩和に移行することになったと言われる事もあれば、寛解したため地元で経過観察することになったと言われる事もあります。どんな結果であれ、その会話が最後になる可能性があるため、常に親身になって相談に乗っています。「いつもありがとうございます」、その一言を貰えるのが何より嬉しいです。

●これから薬剤師になる学生さんに、何かメッセージをお願いします!
日本調剤は病院との連携を大切にしている店舗が多く、薬薬連携という今後の調剤薬局に必要なヴィジョンを持っている会社だと思います。また、ジョブチャレをはじめ革新的な働き方があり、働きながら色々な選択肢を持つことができるのが魅力です。

今後の薬剤師は専門性等、何か武器になるものが必要な時代がきていると思います。やりたいことが見つからないときは、働きながら探すのも選択肢の一つだと思います。そのためにも、選択肢の多い就職先を選べると良いのかなと思います。頑張って下さい!

いかがでしたでしょうか?ジョブチャレで多様な経験を積み、専門性を生かして日々患者さまと向き合うMさんでした!今後の後輩たちの成長も楽しみですね。
これからもジョブチャレ体験記を毎月配信していきますので、ぜひお楽しみに!

【前回のジョブチャレ体験記はこちら★】
3年間のジョブチャレで、すべての業務を経験!薬局・病院両方の視点を持つ薬剤師に。
https://www.nicho.co.jp/shinsotsu/cat7/blog211

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